~東洋医学に基づいた、体の自然治癒力を引き出す施術~
鍼灸治療は、東洋医学に基づいた伝統的な治療法で、鍼(はり)とお灸(きゅう)を使って体の不調を整える方法です。「気(エネルギー)」の流れを調整し、体内のバランスを整えることで、病気の予防や回復力を高めることを目的としています。
当院には、鍼灸治療を初めて体験する患者さまや、注射が苦手な方が多くいらっしゃいます。そのため、まずは鍼灸治療がどのようなものであるか、注射と鍼灸治療はどのように異なるのかを丁寧に説明し、安心して治療を受けていただけるよう心掛けております。
鍼灸治療は、体全体のバランスを整えることに重点を置いています。
症状がある部分だけでなく、体全体のエネルギーの流れを整えることで、根本的な改善を目指します。
鍼:細い鍼を皮膚に刺して、特定のツボを刺激することで、血行を促進し、筋肉の緊張を解消します。痛みや不調を和らげ、体のバランスを整える効果があります。
お灸:温かい刺激を与えることで、体の冷えや血行不良を改善します。温熱効果によってリラックスを促し、免疫力を高める効果も期待できます。
鍼灸がもたらす効果は、東洋医学と現代医学の両面から多岐にわたります。
以下に主な効果をまとめます。
〇痛みの緩和
鍼灸は、エンドルフィンやセロトニンなどの鎮痛作用を持つ物質を分泌させ、痛みを軽減します。また、血流の改善により筋肉の緊張や炎症が和らぎます。
〇血行促進
鍼の刺激が血管を拡張し、酸素や栄養の供給を促進します。これにより老廃物の排出がスムーズになり、体内環境が整います。
〇自律神経の調整
副交感神経を優位にし、ストレスや不安を軽減します。リラクゼーション効果で心身のバランスを整えます。
〇免疫力向上
白血球やNK細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化し、体の防御機能を高めることで感染症への抵抗力が向上します。
〇ホルモンバランスの調整
月経不順、更年期障害、不妊症などに対してホルモン分泌を調整し、症状を改善します。
鍼(はり)は、ステンレス製や銀製などの金属で作られた、細く尖った治療器具です。鍼治療とは、この鍼を用いて、体のツボや筋肉、皮膚など、痛みや不調の原因となる部位に鍼を刺し、刺激を与えることで症状を改善する治療法です。鍼を筋肉や皮膚に刺すと聞くと「痛そう」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際に使用される鍼の太さは、わずか0.12〜0.2mm程度です。この太さは髪の毛とほぼ同じで、ほとんどの場合、チクッと感じる程度です。
当院では、一本一本滅菌された使い捨ての鍼を使用していますので、衛生面でもご安心いただけます。さらに、体調や症状に合わせて鍼に微弱な電流(通電)を流すことにより、痛みの軽減や治療効果をさらに高めることができます。
お灸とは、ヨモギの葉の裏側にある毛を精製して集めた艾(もぐさ)を燃やし、熱を用いて皮膚やツボを刺激する治療法です。お灸治療は、皮膚に直接艾を乗せて燃焼させるため、熱く感じるのではないかと思われがちですが、現在では温度を調整できる台座付きのお灸もあるため、安心して受けていただけます。
当院では、41度から47度の4種類のお灸をご用意しております。また、火を使わないカイロのように貼るタイプの「太陽灸」もございます。
お灸の利点は温かさにあります。そのため、冷え性はもちろん、膝や腰の痛み、胃痛、不眠症の治療にも効果的です。
経穴(けいけつ)は、鍼を打ち、灸を据える身体の要所であり、一般的にはツボと呼ばれています。
現在、世界保健機関(WHO)に認められているツボの数は361個と言われていますが、奇穴や阿是穴などを加えるとそれ以上になります。
経穴は、身体が不調なときに特定の部分を刺激すると楽になる、という経験を基に広まってきたと考えられています。
~東洋医学に基づいた“気”の流れを整えるやさしいアプローチ~
経絡治療(けいらくちりょう)は、東洋医学の考え方に基づいた施術法で、体の中を流れる「気(き)・血(けつ)・水(すい)」のバランスを整えることで、不調を改善していく方法です。
人の体には、「経絡(けいらく)」と呼ばれる“エネルギーの通り道”があり、この経絡の流れが滞ることで、さまざまな症状があらわれるとされています。
経絡とは、ツボ(経穴)を結んでいる道筋のことで、全身に張り巡らされています。
この経絡を通じて「気(生命エネルギー)」が体を巡っており、気の流れが乱れると、痛み・冷え・疲れ・内臓の不調などが引き起こされると考えられています。
経絡治療では、主に以下のような方法を用いて、気の巡りを整えます:
ツボへのやさしい指圧や押圧
手技による経絡上の刺激
必要に応じて、温熱療法や呼吸を意識した施術の併用
施術は痛みを伴わない、リラックスできる穏やかなタッチが中心です。
敏感な方やご年配の方、小さなお子さまでも安心して受けられます。
自律神経の調整(ストレス・不眠・胃腸の不調など)
慢性的な疲労やだるさの改善
冷え・むくみ・女性特有の症状への対応
頭痛・肩こり・腰痛など、気の滞りによる痛みの緩和
体質改善や免疫力の向上
「検査では異常がないけれど、なんとなく不調…」
そんな症状こそ、経絡の乱れが影響している可能性があります。
西洋医学の治療では改善しきれなかった症状がある
慢性的な不調をなんとかしたい
体質そのものを整えたい
できるだけ自然な方法で体を整えたい
経絡治療は、体の表面にあらわれている症状だけでなく、内側のバランス(根本原因)に働きかける治療です。
心と体の“流れ”を整え、自然な回復力を高めていくための、やさしく深いアプローチです。
気血津液のバランスが体質を表す
気とは、体内を巡る生命エネルギーのことであり、大気や食べ物から吸収されるとされています。この気は、消化・吸収・排泄の流れを助けたり、体内に血液を巡らせたり、体温を正常に保つなどの働きをします。
『病は気から』という言葉があるように、気の流れが悪くなると様々な不調を感じやすくなります。
血(けつ)とは、体内を流れる血液を指しますが、それだけではなく、東洋医学では全身を栄養し潤す作用があるという概念も含まれます。血には様々な働きがあり、栄気という気を諸臓器に供給し、機能させます。
また、血の働きには精神の安定化というものがあります。血は精神活動の基礎となるものであり、巡りが悪くなると興奮しやすくなったり、冷静さを欠くことがあります。
津液(しんえき)とは、血液以外のすべての体液を指し、唾液、胃液、汗、涙などが含まれます。津液の主な役割は、体内外に潤いを与えることです。また、老廃物を体外に排出する役割も担っています。
津液が不足すると、口の渇き、皮膚の乾燥、目の乾き、ほてりなどを感じやすくなります。そのため、津液は気や血と同じように生命を維持するために必要な液体です。ただし、津液は水そのものではないので、ご注意ください。